免責事項:この記事は筆者の個人的な投資体験を記録したものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家に相談のうえ行ってください。

高配当株を長期保有していると、増配が積み重なって配当金が育っていく——私の9年間はそういう体験でした。

私の場合、投資開始時(2017年・40歳)は選定基準「表面利回り3.7%以上」で購入してきた結果、取得簿価ベースの実質利回りは3.5〜4%中心で推移していましたが、9年後の現在(2026年・49歳)、保有株全体の取得簿価ベース加重平均利回りは約6.0%まで育っています(出典:自己管理の配当記録・2026年5月時点)。配当総額が増えた理由は、買い増しと増配の両輪。取得簿価ベース利回りが育った主因は「増配」です。

この記事では、増配がどう積み重なって配当金を押し上げていくのか、私の9年間の実数字を使って説明します。買い増しをやめても配当が増え続ける仕組みが、9年分の実数字でわかります。


増配とは何か——利回りが「育つ」仕組み

増配の仕組みを解説するイラスト

増配とは、企業が1株あたりの配当金を前年より増やすことです。

株価が変わらなくても、配当金の金額が増えれば、投資した元本(取得価額)に対する利回りは上がります。

たとえばこうです。

  • 取得価額:1,000円 / 配当:35円 → 利回り3.5%
  • 3年後、株価:1,000円(変わらず)/ 配当:42円 → 取得簿価ベース利回り4.2%

株は1円も値上がりしていないのに、「実際の受取利回り」は上がっています。増配が続く限り、この数字は毎年更新されていきます。これが「高配当株は長期保有するほど有利になる」と言われる実態です。


私の9年間:高配当株の配当金推移を数字で見る

9年間の配当金成長イラスト

私が高配当株の投資を本格化したのは2017年(40歳)からです。当時の選定基準は「表面利回り3.7%以上・配当性向50%以内・自己資本比率50%以上」(出典:自己管理の投資記録)。小さく始め、毎年少しずつ買い増してきました。

年間インカム(税引後)の推移は以下のとおりです(出典:自己管理の配当記録)。

年齢 年間インカム(税引後)
2017 40歳 約3万円
2018 41歳 約8万円
2019 42歳 約36万円
2020 43歳 約48万円
2021 44歳 約60万円
2022 45歳 約72万円
2023 46歳 約84万円
2024 47歳 約96万円
2025 48歳 約108万円
2026/5 49歳 約120万円(株主優待10万円含む)

※2026年5月時点。うち株主優待約10万円相当を含む。配当のみは約110万円(税引後)。

2020年以降、年間インカムは毎年約12万円(月1万円相当)ずつ積み上がっています。これは偶然ではなく、意図的な設計の結果です。「年+12万円(月+1万円)ペースで配当を積み上げていく」という目標を立てて動いてきました。

年間配当120万円(税引後)への道のりの詳細は年間配当120万円への道・利回り3.7%→6.0%の記録に記録しています。


増配は「雪だるま式」で効いてくる

配当が雪だるま式に育つイラスト

2020年以降の安定した積み上がりには、買い増しによる増加と増配による増加の両方が絡んでいます。

ただ、年数が経つにつれて、増配の効果は相対的に大きくなっていきます。

具体例として、2026年5月の決算シーズンを見てみます。私が保有する96銘柄(国内株・J-REIT91銘柄+米国ETF5銘柄)のうち、約2割(約20銘柄)が増配を発表しました(出典:自己管理の配当記録・2026年5月時点)。

仮に20銘柄が平均5%増配したとします。保有総額に占めるその銘柄群の配当ウェイトを仮に30%とすると、全体の配当増加は0.3×5%=1.5%。120万円なら+1.8万円。(あくまで仮定の試算です。実際の増配率・ウェイトは銘柄により異なります)

これが毎年繰り返されます。新たに1円も投資しなくても、既存株の増配だけで配当は少しずつ上がっていくのです。

さらに、増配で増えた配当を再投資すれば、次の年の配当ベースが増える。増えた配当が次の配当を生み、転がり出すと自分は手を止めても勝手に大きくなっていく——この複利的な効果が「雪だるま式」と表現される理由です。

この「雪だるま」というイメージは、ウォーレン・バフェットの自伝『スノーボール』(アリス・シュローダー著)とも重なります。「濡れた雪と長い坂を見つけること」——成長する投資先を選び(濡れた雪)、長期間にわたって利益を再投資し続ける(長い坂)ことで、複利の力が働き資産が育っていく、という考え方です(出典:アリス・シュローダー著『スノーボール』)。

スノーボール 改訂新版〔上〕ウォーレン・バフェット伝

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バークシャー・ハザウェイの会長兼CEO、世界で最も尊敬される投資家ウォーレン・バフェット。唯一執筆を許された著者が5年以上をかけて書き上げた公認伝記。幼少期から現在に至るまでの投資戦略と人生哲学が緻密に描かれている。《タイム》誌・《ピープル》誌「ベストブック」トップ10。「雪だるま」という言葉の原典でもある一冊。

今回は配当を例に話しましたが、キャピタルゲイン(値上がり益)でも同じことが言えると思います。値上がりした利益を再投資して株数を増やしていけば、複利的に資産が育っていく。「配当か値上がり益か」より、「長く持ち続けることで雪だるまが転がる」という本質は変わらないはずです。


買い増しと増配、どちらが貢献しているか

正直に書くと、私の配当増加の大部分は「買い増し」の効果です。特に2019年〜2023年の急増期は、毎年100〜230万円規模の追加投資をしていました(出典:自己管理の投資記録)。

ただ、ここ数年は構造が変わってきています。

2024年以降、私は新NISA(年間360万円枠)を優先してオルカン・S&P500の積立に多くを振り向けています。高配当株への追加投資は、NISA枠不足時や急落局面でのスポット購入(年0〜30万円程度)にとどめています。

それでも年間インカムは毎年約12万円増え続けています。買い増しなしでも配当が増えているということは、増配の寄与が相対的に高まってきた証拠です。

保有株を9年間売らずに持ち続けた結果、取得簿価ベース利回りは約6.0%まで育っています。これは市場で同じ株を今日買った場合の利回り(時価ベース)とは別物です。長期保有を続けた結果として生じた、私の場合の簿価利回りです。


増配が続く株を選ぶための視点

以下は私自身が参考にしている視点であり、推奨や助言ではありません。

増配の恩恵を受けるには、「増配が続く企業」を選ぶことが前提です。

私が重視しているのは以下の指標です(出典:自己管理の選定基準)。

  • 配当性向が50%以内:利益の半分以下を配当に充てている企業は、増益時に増配余力がある
  • 自己資本比率50%以上:財務的な体力がある企業は、業績悪化時も配当を維持しやすい
  • ROE8%以上:投資した資本をきちんと稼げている企業は、利益成長を通じた増配が期待できる
  • 連続増配の実績:日本でも10年以上連続増配している企業は存在する。過去の実績は将来の保証ではないが、企業文化として配当を大切にしていることの傍証になる

逆に、配当性向が80%を超えている企業は注意が必要です。利益をほぼ全額配当に回しているため、少し業績が落ちると減配リスクが高まります。

銘柄の選定基準については高配当株の選び方・9年間売らずに持ち続けた7つの基準により詳しく書いています。


高配当株の長期保有メリットは「持ち続けた人」だけが受け取れる

長期保有の目標達成イラスト

高配当株の増配効果は、短期では実感しにくいものです。

1銘柄が年5%増配しても、当年の受取配当への影響は小さい。でも、それが10銘柄・20銘柄と積み重なり、5年・10年と継続すると、取得簿価ベース利回りは買ったときとは別物になっています。

私自身、投資3年目くらいまでは増配の効果をあまり実感していませんでした。配当が増えているのはわかるが、大半は買い増しのおかげだと思っていました。

変わったのは2023〜2024年頃からです。追加投資額が増えても増えなくても、配当の上積みが毎年安定してくる。ちょうどその頃から「増配が機能してきた」という実感が出てきました。

長期投資は「退屈さ」との戦いと言われることがあります。でも言い換えれば、売らずに待てた人だけが増配の複利効果を受け取ることができます。売らないこと自体が戦略です。

投資の軸を決めて、少しずつでもなるべく早く始める——振り返ると、この決断と行動が案外重要だったと感じています。完璧なタイミングを探すより、自分なりのルールで動き出せるかどうかが、「長い坂」を確保することにつながるのだと思います。


まとめ

  • 高配当株を長期保有すると、増配によって取得簿価ベースの実質利回りは上がっていく
  • 私の場合、9年間で取得簿価ベース利回りは3.5〜4%中心から約6.0%まで育った
  • 年間インカム(税引後)は9年で3万円→120万円へ。2020年以降は毎年+12万円ペースで積み上がり中(うち配当のみ約110万円)
  • 増配が効いてくるのは5年以上の保有から。短期では気づきにくい
  • 増配が続く株を選ぶ視点(配当性向・自己資本比率・ROE・連続増配実績)が長期では効いてくる

配当金は、保有し続けることへの「報酬」だと私は捉えています。相場が下がっても、含み損を抱えていても、配当は振り込まれてきます。その積み重ねが、9年間を乗り越えるための精神的な支えになっています。

9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話


この記事の数値は筆者個人の投資記録に基づく実績値です。将来の配当・投資成果を保証するものではありません。